この作品の出発点は、
杉浦が5人で戦隊ヒーローの芝居がしたい!という発想と、
僕が田舎に帰った時のエピソードから始まっている。
それを渡辺と共に作品に仕上げたのが、初演である。
(元になった田舎のエピソードは、長くなるのでまた今度紹介するとして…)
今回の再演にあたっては「日常と非日常」というものが、一つ大きなテーマになったような気がする。
それは、もちろんコロナ禍の影響もある。
私達の日常はこんなにも呆気なく崩壊する。
そして、非日常がやってくるわけだが…
これまた呆気なく、非日常は日常へと移り変わる。
人間というか、生物の適応能力というか…
慣れとは凄いものだなと思う。そして、恐怖すら感じる。連日報道される感染者数も、
初めて1000人を超えた時の衝撃もすぐに忘れ、
今や少なくすら感じる。
緊急事態宣言だってそうだ…
初めて発出された時にあった緊張感は薄れてしまった。
実際、我々も芝居をやっているわけで。。。
(もちろん、出来る限りの感染症対策はしています)
こうした「適応能力」や「慣れ」には、良い面と悪い面があるのだなと、コロナ禍でつくづく感じた。
あともう一つ今回の作品の柱となるものに、
若者達が抱く「非日常への憧れ」がある。
ライトノベルから派生した深夜アニメには、
異世界転生モノが溢れている。
物語の大筋は、平凡で刺激の無い日常を過ごす主人公が、いきなり異世界に転生され、
非日常を生きるというものだが…
めちゃくちゃ流行っている。
これはある種の願望ではないかと思う。
戦争を知らない。
学生闘争を知らない。
バブルを知らない。
でも、平和な日常はなんとなく約束されている…
そんな日々を生きる若者達の中に、
この日常を壊してしまいたいという
衝動があるのではないか。
とても不謹慎な事ではあるが、子供の頃、台風が来たり、地震がきたりするとワクワクした事はなかっただろうか?あの気持ちに似ている。
そんな気持ちを抱く事に背徳感を感じながらも、
どこかで非日常への入り口を探している。
それなりに平和な日常を生きる現代人の闇が
そこにはあるように思える。
今回の再演では、田舎の三軍ヒーローを通して、
日常に潜む現代の闇も
垣間見れたら面白いなと思っている。
ま、いろいろ語ってしまったが、
1番は生で芝居を観てもらいたい!って事につきる。
目まぐるしく日常が非日常へ、
そしてまた非日常が日常へと変化して行く日々で、
演劇には一度立ち止まらせる力があると僕は思っている。
立ち止まって、考える。
自分の事、家族の事、友人の事、世の中の事…
『暴発寸前のジャスティス』の再演は、正に今生で観て、体感してるもらいたい作品である。
このような状況下ではありますが、出来る限りの対策をして、ご来場お待ちしております。
不要不急では無かったと思えるような作品になるよう、
残り数日全力を尽くしますので、ご期待下さい!
ぽこぽこクラブ
演出・三上 陽永